前回の「フェデリコ・モンポウ : 原点回帰・プリミティズム・鐘の音他」の続きです。
フェデリコ(フラダリーク)・モンポウはギター作品を3つ残しました。ギターの為に書かれたオリジナル作品「コンポステラ組曲」と2つのギター編曲作品「歌と踊り第10番 — アルフォンソ10世による二つの聖母マリア頌歌による」と「歌と踊り第13番 — 歌:鳥の歌・踊り:腕の良い狩人」です。
コンポステラ組曲
組曲は6つの楽章から構成されています。
- I. 前奏曲
- II. コラール
- III. 子守唄
- IV. レチタティーヴォ
- V. 歌
- VI. ムニェイラ
「コンポステラ組曲」は1962年に作曲され、アンドレス・セゴビアに献呈されています。「I. 前奏曲」・「II. コラール」・「III. 子守唄」・「IV. レチタチーボ」・「V. 歌」・「VI. ムニェイラ」の6つの楽章から成り、それぞれの楽章からスペイン北西部のガリシアにある歴史的な街「サンティアゴ・デ・コンポステラ」の情景を感じ取ることができます。
前奏曲は雨の滴るガリシアの街を連想させ、古風なコラール(聖歌)や教会旋法の響きはカトリックの三大巡礼地の1つであるサンティアゴ・デ・コンポステーラの歴史の重みを感じさせます。ムニェイラとはガリシア地方の伝統的な踊りで「ガイタ」と呼ばれるバグパイプや打楽器の伴奏と共に踊られます(スペインの北部にはケルト人の文化が色濃く根ざしています)。コンポステラ組曲はこの土地の特徴的な響きであるガイタを模倣したムニェイラによって幕を閉じます。
話はそれますが、モンポウは1958年から毎年14年間に渡ってサンティアゴ・デ・コンポステラの音楽の講習会で教鞭を執っていました。