
今回のギター工房インタビューはイギリスのパーネル・ギターズのジェイク・ヒューラーさんです。
Q1. あなたの工房とその歴史についてお聞かせください
私は玩具製作者の息子として、父の工房で木工作をしながら育ちました。それと共に私はギターに興味があったので、ロンドン・ギルドホール大学でデイビッド・ホワイトマンとデイビッド・ローズの指導のもと3年間ギター製作を勉強するに至りました。それ以来私はサフォクのサウスウォルドの自宅でクラシック・ギターを製作しています。
Q2. あなたにとって良い音のするギターとはどのようなものですか?またそれを獲得する為にどんな工夫をしているのですか?
私は製作家として音楽家にとって全ての音楽的可能性を提供する特定の特性を持ったギター作りを志しています。それらは、豊かな音量、音質、ダイナミック・レンジ、全ての音に対する均等なレスポンス、演奏し易さ、そして特に人を感動させる音などです。それらを得る為に、私は今まで試み、そして検証された伝統的な方法と、近代的な音のする楽器を作るために自ら発展させている方法を合わせています。
Q3. 弾き易いギターを製作する事について考えをお聞かせください。そして、その為にどんな工夫をされていますか?
ギターは演奏家が力を入れなくても簡単に反応しなければいけません。それと共に、正しい弦高と弾き易さが必要です。
Q4. 伝統的なフレンチ・ポリッシュ(セラック・ニス)や新しい方法(ラッカー、触媒)などの仕上げの方法について、あなたの考えをお聞かせください。
私はセラック・ニスを使います。私の意見では、最も見栄えが良く、ギターが響くのを妨げないからです。
Q5. 640, 628 や 615mm などのショート・スケール・ギターに於いて、弾き易さ、設計、音質や音量の観点から、あなたの考えを聞かせて下さい。また、手の小さい人や女性ギタリストの増加によってそれらショート・スケールの需要は伸びていますか?
650mmスケールが標準です。私は今までそれ以外のものは作った事がありませんが、もし注文があればショート・スケールや幅の狭いネックのギターも製作します。
Q6. 多くの読者がギターを色々と試奏していく内にますますどのギターが良いのか分からなくなってしまう様です。製作家の立場から、楽器店や工房でどのようにギターの音質や弾き易さをチェックしたら良いのか、アドバイスを頂けますか?
経験の浅い演奏者にとって、楽器を試すのは難しいことです。私はあまり賢明でない選択をするところをたくさん目撃しました。アドバイスとしては、まず始めに製作技術の質を注意深く観察してください。ネックの結合、指板の結合、ブリッジやサドル、ナット、フレットなど全ては正確な位置にぴったりとはまっていないとギターは正しく響きません。明確なビビリやハイポジションでのフレットで詰まった様な音がしたり、弦高が不足していたりしては行けません。全ての音を試して下さい。フレットの高さが揃っているか、そしてまっすぐかどうかをネックの上から見てみて下さい。多くのギターはしばしば高音域で反応が乏しくなります。1弦上で、12フレットまでの音を全て試してみて下さい。1弦が良く響く事は非常に重要な事です。もしギターが良くなれば、あなたはより良い音楽を奏でることができるでしょう。
ギターの音質について定義する事は明らかにもっと難しく、個人的なものです。あなたより経験のある人、例えばギターの先生等に付き添ってもらう事を検討して下さい。最後に、最終的に決断する前になるべく多くのギターを試奏してください。
Q7. 顧客に対してアフター・サービスはありますか? 特に、高額なギターの購入について心配している人たちも多いと思われるのですが。
演奏者が必要な如何なる調整はもちろん対応します。
Q8. ブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)などの木材がますます入手困難になってきていますが、それはあなたのギター製作や完成したギターの品質にどのような影響があると思いますか?
いくつかの木材は入手が更に困難に、そして高価になっています。しかしながら、まだ十分な量の高品質な木材があると思います。ギター製作の水準は未だに大変高いので、これが製作家達に実際に影響するのはまだ先でしょう。
Q9. 21世紀に於いてギター製作というこの美しい伝統はどうあるとお考えですか?
ギター製作の魅力的な側面は、制作方法は常に進化しており、常に新しい製作家達が新しいアイデアを思いついている、と言う事実にあります。
もう少し音量が大きく、更に反応が良いギターを作る事が現在進行中の試みです。しかし、それと共に伝統的なギター製作も非常に重要で、私はそれが長い間続くと信じています。