クラシック・ギター製作家: アラン・ブル (オーストラリア)

クラシック・ギター製作家: アラン・ブル (オーストラリア)

クラシック・ギター製作家: アラン・ブル (オーストラリア)
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今回のギター工房インタビューはオーストラリア、タスマニアのアラン・ブルさんです。

Q1. あなたの工房とその歴史についてお聞かせください。

私は40年以上前にギター製作を始めましたが、2000年になって始めて商業としてのギター工房を始めました。その間、私は常にギターやその製作に関心がありましたが、ギター製作の研鑽と私の家族を養う必要から、自ずとそれが職業になりました。私はギター製作家としての第二の職業を得ることができて大変好運だと思います。

Q2. あなたにとって良い音のするギターとはどのようなものですか?またそれを獲得する為にどんな工夫をしているのですか?

私はクラシック・ギターはいくつかの特徴を有するべきだと思います。ギターは右手のタッチに豊かな音と共に容易に反応しなければいけませんが、音が明瞭である為には弦と音の分離が良くなければなりません。高音弦は倍音成分によって輝きがなければいけませんが、細い音ではいけません。音には輪郭のはっきりした芯が無ければいけません。鐘の音に丸みを丸みを与えた様な音であるべきです。低音はその倍音成分に於いて十分にぴりっとしていなければいけませんが、基音周波数を犠牲にしてはいけません。

ギターの表面板をより広い範囲で隈無く均等に補強する為に、非対称格子状の力木配置法が私には上手く機能していると思います。私の表面板は伝統的な設計より薄いですが、格子状(lattice-braced)力木配置のそれほどではありません。 それらは比較的軽量で従順ですが静的なブリッジの回転に耐える様に設計されています。私はヘビー・クオーター・ライニング、強化された横板、そして(一般的に)強化された力木無しの裏板を使います。これによって得た堅牢なボディ構造がエネルギーを表面板に集中させる事を助け、遠達性とサステインに良い結果をもたらします。

Q3. 弾き易いギターを製作する事について考えをお聞かせください。そして、その為にどんな工夫をされていますか?

左手の弾き易さはスリムで輪郭が平らなネックによってもたらされます。私のネックは指板を含めて最も厚い部分から最も薄い部分まで22mmから21mmの厚さで、裏側は平面状になっています。これは手の小さな演奏家にとって非常に有利であると共に、標準サイズや、大きな手の演奏家たちにとって不利にする事もありません。

私の標準サイズのネック幅はナット上で53mm、ボディ結合部で63mmです。弦の間隔はナット部分で45mmで、サドル部分では57.5mmです。もちろん、手の小さい人にはそれらの間隔を狭めることができます。

私のギターの側面はテールからネック結合部にかけて薄くなっていくので、指板は表面板より高い位置にあります。これによって12フレットより上の領域が弾き易くなります。これはまた、指板が表面板に対して負の角度を持ちます。これによりアタックが柔らかくなり、右手の弾き易さを向上させる事になると思います。

私の指板は低音部分により大きいあそびを持たせる様に傾きを入れています。これによってビビることなく弦高を下げることができます。

私は伝統的な指板があまりに平らすぎると考える演奏家の為に、薄く丸みを帯びさせた指板をオプションで提供しています。

Q4. 伝統的なフレンチ・ポリッシュ(セラック・ニス)や新しい方法(ラッカー、触媒)などの仕上げの方法について、あなたの考えをお聞かせください。

フレンチ・ポリッシュは肌と接触する事によってもたらされる損傷に対する耐性以外では、全ての面で素晴らしい仕上げ方法です。肌に接触するとニスは例外無く痛みます。ニトロセルロース・ラッカーはこの手の損傷に対して遥かに高い耐久性を持っていますが、結局最後は割れてしまうでしょう。演奏家が不注意だったりすると尚更です。フレンチ・ポリッシュは音響的に他のニスより優れていると考えられていますが、私はラッカーであっても、もし薄く塗られていた場合その違いを聞き分けられる人がいるのか懐疑的です。私はセラック・ニスをベースに塗り、その上にニトロセルローズのラッカーを薄く塗っています。私の意見としては、ポリウレタンやポリエステルの仕上げは避けるべきだと思います。

Q5. 640, 628 や 615mm などのショート・スケール・ギターに於いて、弾き易さ、設計、音質や音量の観点から、あなたの考えを聞かせて下さい。また、手の小さい人や女性ギタリストの増加によってそれらショート・スケールの需要は伸びていますか?

ショート・スケールのギターは手の小さい人や関節炎等身体に障害を負っている人たちにとって良い選択です。更に多くの人たちがこれらのギターを選択肢に入れてきています。私は音量、音質やサステインに認められる影響を及ぼす事無く、630mmと640mmスケールのギターを作った事があります。私は650mmのギターと同じ寸法のボディを使い、ブリッジの配置を最適化する為にサウンドホールの位置を再設定しています。

Q6. 多くの読者がギターを色々と試奏していく内にますますどのギターが良いのか分からなくなってしまう様です。製作家の立場から、楽器店や工房でどのようにギターの音質や弾き易さをチェックしたら良いのか、アドバイスを頂けますか?

私の出来る最良の助言は、誰か信頼の出来る耳を持ち、どのような演奏をするのかあなたが良く知っている人に付き添ってもらう事です。特に最新の設計によるギターの場合、ギターがどんな響きなのかを知る為には正面と同時に、背後からも聞く必要があります。いわゆる伝統的なギターの様にギターの後板を通して後ろ向きに音が鳴らない事に気がつくでしょう。

Q7. 顧客に対してアフター・サービスはありますか? 特に、高額なギターの購入について心配している人たちも多いと思われるのですが。

私のギターを直接購入された方は、製造工程による欠陥に於いて、私が製作家として生きている間は保証されています。

Q8. ブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)などの木材がますます入手困難になってきていますが、それはあなたのギター製作や完成したギターの品質にどのような影響があると思いますか?

ブラジリアン・ローズウッドと、もしかすると、マダガスカル・ローズウッドの他にも裏板や横板に使える良い品質の材木は容易に入手出来ます。コストが増加していますが、これは防ぎようがありません。私はオーストラリア、特にタスマニアの木材を出来るだけ多く使う様にしています。表面板には高品質で入手が容易なカナダの木を使っています。

Q9. 21世紀に於いてギター製作というこの美しい伝統はどうあるとお考えですか?

世界中に才能のある製作家達が豊富にいるので。この伝統はとても健全な状態にあると思います。私の国では、国内の市場の規模の小ささや、ギター工房によって妥当な収入を得る事が困難であるにも関わらず、新しい人たちがこの世界に参入しています。

世界中、そしてここオーストラリアでは、恐らく過去の如何なるときよりも大きな割合で革新が起こっています。特にクラシック・ギターはこれからも将来に向けてその進化を続けるでしょう。

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