クラシック・ギター製作家:クリストファー・ディーン(イギリス)

クラシック・ギター製作家:クリストファー・ディーン(イギリス)

クラシック・ギター製作家:クリストファー・ディーン(イギリス)
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今回のギター工房インタビューはイギリス、オックスフォードシャーのクリストファー・ディーンさんです。​

Q1. あなたの工房とその歴史についてお聞かせください。

私は幼少の頃から芸術の才能があり、工作が好きでした。十代でギターを学び始め、必然的にそれらの二つの趣味が組合わさりました。十代の後半に両親の台所のテーブルを使って初めてのクラシック・ギターを作りました。私は農業という職業を離れ、近代的なフレット楽器を専門とするロンドン・家具学校 (London College of Furniture)に願書を出しました。ここで3年間過ごしましたが、コースにはポール・フィッシャーやホセ・ロマニージョス等の工房を訪れる事が含まれていました。この時期にその後年々深くなるギターへの情熱を発展させました。卒業後、そしてニュージーランドで1年家具作りをして過ごした後、ポール・フィッシャーの助手として働きました。フィッシャーの工房で過ごした2年間で私はギター製作の技術とこの職業についての豊富な知識を得る幸運に恵まれました。

1985年10月に私自らのアイデアを発展させる事を切望し、自らの工房を開きました。それ以降、時たまサントス・ヘルナンデスやヘルマン・ハウザー等の名工のギターを修復した事を除いて、自分のギター製作のみに従事してきました。

Q2. あなたにとって良い音のするギターとはどのようなものですか?またそれを獲得する為にどんな工夫をしているのですか?

私は伝統的な工法を好んでいます。ギターは「新たな発明」を必要としている様に感じないので、私は革新者というより芸術の洗練者と言えます。幼少の頃からクラシック・ギターの美しさ、色彩と感情、明瞭さと良いダイナミック・レンジに引き込まれましたが、これらが私の獲得しようとしていることです。ギターは大きいコンサート・ホールで演奏されるので良いレベルの音量を獲得する様に心がけていますが、自然の美しさを犠牲にする事はしません。つまり、良い音量を伴い、明瞭で全域でバランスの良い、特徴のあるギターを製作する様努めています。これら全てを得る為に、私は最高の材料と多くの経験を用いています。

Q3. 弾き易いギターを製作する事について考えをお聞かせください。そして、その為にどんな工夫をされていますか?

弾き易さは、私の意見では次の様に定義出来ます。1)フレット上の弦高、いくつかはギターに適正なテンションを持たせる事で獲得出来ます。2)ネックの形状。3)ギータの全般的な感触、これは簡単には定義出来ません。

Q4. 伝統的なフレンチ・ポリッシュ(セラック・ニス)や新しい方法(ラッカー、触媒)などの仕上げの方法について、あなたの考えをお聞かせください。

私は常にフレンチ・ポリッシュを使っています。たまに表面板にオイル・フィニッシュを使う事もあります。深い輝きのある最も豪華な仕上げであると言う他に、セラックを使ったフレンチ・ポリッシュは、ギターに柔軟性を与え振動に共鳴することを可能にすると思います。合成塗料は良いギターの音を妨げる様に感じます。

実際面ではフレンチ・ポリッシュは修復が可能ですがラッカー・フィニッシュはそうはいきません。

Q5. 640, 628 や 615mm などのショート・スケール・ギターに於いて、弾き易さ、設計、音質や音量の観点から、あなたの考えを聞かせて下さい。また、手の小さい人や女性ギタリストの増加によってそれらショート・スケールの需要は伸びていますか?

私は640mmやそれより短いギターを沢山製作してきました。ギターが最高の音質を得る為にブリッジがロワー・バウト(ギターの持つ二つの膨らみの内大きい方)の中心に位置する事が重要で、640mmは若干小さめの表面板が相応しいと感じています。技術のある製作家は音量の低下が目立たない様に調整して製作出来ます。

Q6. 多くの読者がギターを色々と試奏していく内にますますどのギターが良いのか分からなくなってしまう様です。製作家の立場から、楽器店や工房でどのようにギターの音質や弾き易さをチェックしたら良いのか、アドバイスを頂けますか?

ギターリスト達に同感です。どのギターを購入したら良いのかとても難しいかも知れません。私はそれを承知しており、多くの場合私のギターを選択する様顧客に強く要求するつもりはありません。そのかわり、私のギターが彼等に相応しいかどうかを見てもらう様にしています。私の感覚では、演奏者は全ての先入観を取り除いた無の境地でギターを試奏し、単にそのギターが彼等にとって相応しいかどうかを感じる様にするべきだと思います。もし何本かのギターを試奏すれば(それがもし予算外であったとしても!)常にその内の一本に惹き付けられるはずです。

Q7. 顧客に対してアフター・サービスはありますか? 特に、高額なギターの購入について心配している人たちも多いと思われるのですが。

少なくともギター購入日後1年は常にアフター・サービスと正当な範囲での調整を提供しています。私は自分の製作したものに顧客が満足してくれる事を望んでいますので、それに必要な事は何でもします。

Q8. ブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)などの木材がますます入手困難になってきていますが、それはあなたのギター製作や完成したギターの品質にどのような影響があると思いますか?

私は幸運にも全てCITESライセンスに合格して供給されたリオ・ローズウッド(ハカランダ/dalbergia nigra)の在庫が豊富にあります。しかし、インディアン・ローズウッドを使う事にとても満足していて、実際に良く使用します。それらを使ってとても良く似た品質のギターが製作出来ます。リオは若干反響と遠達性に富み、インディアンは同量の音量でより暖かみがあるかも知れません。

Q9. 21世紀に於いてギター製作というこの美しい伝統はどうあるとお考えですか?

ギターの将来がどうであるか私には分かりませんが、これだけ多くの人々の心をつかみ喜びを与えている事を見ると21世紀に廃る可能性はないと思います。

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