クラシック・ギター製作家:ニコラス・ガルシーア(スペイン)

クラシックギター製作家インタビュー_ニコラス_ガルシーア

今回のギター工房インタビューはスペイン、マラガのニコラス・ガルシーアさんです。

 

Q1. あなたの工房とその歴史についてお聞かせください。

私は有名なギター製作家である父、ホアキン・ガルシーアの工房で15歳の時に見習いとして働き始めました。

最初は低品質の木材を使って道具の使い方や正しい角度や正確な厚さの出し方を学び、16歳の時に初めてのギターを製作しました。 

その後20歳の時に独立し、自分の工房で一人で働いていますが、まだ完成した楽器を父に監督、評価してもらっています。

 

 

Q2. あなたにとって良い音のするギターとはどのようなものですか?またそれを獲得する為にどんな工夫をしているのですか?

演奏者が快適と感じ、望んだ/予想もしていなかった音のニュアンスを得ることができた時にギターが良い音になるのです。なぜかは謎ですが「ドゥエンデ」のあるギターと、その他の全く生気も色も無いギターがあるのです。もちろん技術的には音程が良くなければいけませんし、フレットと干渉してビビってはいけません。サステインも長くなければいけませんし、会場の最終列までアンプ無しでも音が到達する様、音量と遠達性が良い事は多くの人達の夢でもあります。良い倍音を含まなければいけませんし、ネックのどこの音を弾いても、ある音が他のある音より強くなる様な事の無い様、バランスが良くなければいけません。高音弦と低音弦の音量も同様にバランスが良くなければいけません。
 
それを得るにはギターリストの音に耳を傾けたりギターに対する要求に答えるなど、長い年月の経験が必要です。内部構造を変更したり結果を分析する事は興味深い進歩を得る事につながります。

 

 

Q3. 弾き易いギターを製作する事について考えをお聞かせください。そして、その為にどんな工夫をされていますか?

  1. 弾きやすいギターとは右手左手両方の手に優しい、つまり柔らかいギターです。弾弦に対する反応も速くないといけません。
     
  2. 理論上表面板が柔らかい程弦も柔らかくなりますが、音量の損失が生じてしまうのでとても難しいです。標準的な範囲でネックの太さも影響しますが、実際全ての手は同一ですか?違います。

    弦高は、どんなプロの演奏家にとっても1ミリメートル半の世界です。

 

 

Q4. 伝統的なフレンチ・ポリッシュ(セラック・ニス)や新しい方法(ラッカー、触媒)などの仕上げの方法について、あなたの考えをお聞かせください。

明らかに、私にとってはフレンチ・ポリッシュは最高の音を得る為のニスの女王です。 ニスはギター全体を覆う表面を作る事を忘れてはいけません。鏡の様な艶を出す為にはニトロ・セルローズやポリウレタン等沢山の合成ニスがあります。

 

 

Q5. 640, 628 や 615mm などのショート・スケール・ギターに於いて、弾き易さ、設計、音質や音量の観点から、あなたの考えを聞かせて下さい。また、手の小さい人や女性ギタリストの増加によってそれらショート・スケールの需要は伸びていますか? 

ギター製作家はギターリストを助ける為にあり、その逆ではありません。よって、製作家は演奏家の要求に可能な限り応えるべきです。

もしギターリストが小さな手を持ちより短いギターが必要であるなら、製作家はそれに応えるのです。

ショートスケールのギターは必ずしも音に影響する訳ではありません。例えば私の父が最近製作したような良質なチャランゴを聞いてみればあなたは良い意味で驚くでしょう。

 

 

Q6. 多くの読者がギターを色々と試奏していく内にますますどのギターが良いのか分からなくなってしまう様です。製作家の立場から、楽器店や工房でどのようにギターの音質や弾き易さをチェックしたら良いのか、アドバイスを頂けますか?

楽器に精通しているギターの先生か演奏家に付き添ってもらう事を推奨します。

 

  1. 組み立て:

    楽器の外側の仕上げを見れば製作家の腕が分かります。フィレテアード(装飾としての絵柄)やサウンド・ホールが工場生産品でなく手工製かどうかなど。材料の品質を見極める事は大きな助けになりますが、これは字を読んでいるだけでは学べません。
     

  2. 音:
    良いギターは演奏者が望む、又は予想もしなかった様な音のニュアンスを得ることが出来て快適に感じられたときに良い音を出します。あまり詳しいことは分かっていませんが、「デュエンデ」のあるギターと色の無い全く役立たずなギターというのがあるのです。もちろん、技術的には、音程が良く、フレット上でのビビリが無く、サステインが長くて、音量があり、多くの人が夢見る様にアンプを使わなくてもコンサートホールの最終列まで届く遠達性があり、良い倍音を持ち、バランスがとれている、つまり指板上や高音弦から低音弦のどの音を弾いても均一の音量で響かなくてはいけません。
     

  3. 演奏性:
    弾きやすいギターとは右手左手両方に優しい、つまりギターを演奏する人によって必要とする事に応えることができる「柔らかい」ギターです。また、弾弦に素早く反応しなければいきません。

    常にギターのことがよく分かる先生か演奏家に付き添ってもらう様お勧めします。

    工場生産のギターは避けた方がよいでしょう。

 

 

Q7. 顧客に対してアフター・サービスはありますか? 特に、高額なギターの購入について心配している人たちも多いと思われるのですが。

顧客がギターを適切に取り扱った場合に限り、購入後ギターに満足して頂けない場合は交換することが保証されています。

前述した通り製作家はギターリストや顧客を助けるのが仕事です。製作家はギターを売買したりして儲けるべきではありません。よって、利益ばかり考える事無く出来るだけの手助けをするべきです。

 

 

Q8. ブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)などの木材がますます入手困難になってきていますが、それはあなたのギター製作や完成したギターの品質にどのような影響があると思いますか?

ノーコメント。

 

 

Q9. 21世紀に於いてギター製作というこの美しい伝統はどうあるとお考えですか?

この21世紀においてこの美しい伝統の将来はこの先とても明るいといえます。なぜなら、伝統的なものから逸脱する事に挑戦する人達が出てきているからです。ギターは常に発展を遂げており、良い演奏家がいる限り常に発展し続けるでしょう。

Five Swords at the Crossroads - 英語版
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