クラシック・ギター製作家:フェルナンド・ルビン・サグリア(スペイン)

フェルナンド・ルビン・サグリア

今回のギター工房インタビューはスペイン、バレアレスのフェルナンド・ルビン・サグリアさんです。

 

Q1. あなたの工房とその歴史についてお聞かせください。

私は1993年までブエノス・アイレスの音楽院で音楽を勉強しました。今まで、製作家と音楽家としての活動を交互にしてきました。
1997/8年に自分用に良質な楽器が必要だったのですが、それを買う資金が無かったので自らギター製作を始めました。私の第一歩はアルゼンチンのあるギター製作家と共に踏み出しました。その後、A.Carruth先生とギター音響学を学びました(現在もいくつかの研究を続けいています)。
私は2001年からスペインのマジョルカに住んでいます。私の工房はこの交通の便の良い場所にある為、私のギターは世界中に流通しています。

 

Q2. あなたにとって良い音のするギターとはどのようなものですか?またそれを獲得する為にどんな工夫をしているのですか?

音程が正しい事を前提として、主に3つ主要な要素があると言えるでしょう。

  1. 音質
  2. 音量
  3. サステイン 

1番目は設計、材質、そしてギター製作家に関係しています。トレス/ハウザー/S.エルナンデス等の伝統的な製作家達の設計は、彼ら特有の音になるべく、ある種の作用や反応を持っています。それらは最も人気のある設計ですが、私の様に新しい材料や製作技術を研究している人達も沢山います。 

異なる設計と技術を使って今までいくつものギターを製作しましたが(ノメックス・ダブル・トップ、ブーシェ、フリードリッヒ等)、毎回トレス/ハウザーに回帰しています。

材料の品質は大変重要です。購入する時に最良の切り口、材木の品質を見定める必要があります。

 

ギター製作家:
それぞれのコンポーネントの完全な調整と切断方法(研磨ではない)がギターの発音を最も効果的にします。

音量:
これは殆どのギターリストが求めている事でしょう。良い音量は良い演奏効果を可能にします。これは設計の良さを最大限に導く事と関係しています。音響学的技術は根本的に重要です。多くの人がトレスの設計は遠達性が無いと考えていますが、それは一般的に音響学についての詳細な知識が無いからです。もしどの様に最適化するかが分かれば、ハウザーのデザインでも生演奏で十分最適な音量を得られるのです。

 

Q3. 弾き易いギターを製作する事について考えをお聞かせください。そして、その為にどんな工夫をされていますか?

弦高は演奏家の好みによって調節するべきです。演奏のし易さとは、「音の到達速度」の認識だと思います。ギターのボディーサイズは音の反応にかなり影響します。大きなギターは反応が遅い傾向があります(1/1000秒の話です)。一方で、小さなギター(トレス、ハウザー)は弾弦してからの反応が大幅に速く感じられ、それが「演奏がし易い」という感覚を与えているのだと思います。

ネックの厚みはそんなに重要ではないと考えています。一般的に慣れの問題だと思います。

 

Q4. 伝統的なフレンチ・ポリッシュ(セラック・ニス)や新しい方法(ラッカー、触媒)などの仕上げの方法について、あなたの考えをお聞かせください。

表面板:
フレンチポリッシュのみ!

後板、側板:
そんなに重要ではないと考えていますが、フレンチポリッシュが好きです。ニトロやポリウレタンは適度に使用されれば悪くはありません。

 

Q5. 640, 628 や 615mm などのショート・スケール・ギターに於いて、弾き易さ、設計、音質や音量の観点から、あなたの考えを聞かせて下さい。また、手の小さい人や女性ギタリストの増加によってそれらショート・スケールの需要は伸びていますか? 

私は、635までは音響的な違いが無いと思います。クラシックギターではそれより短い方へは言った事がありません(ラコートを除く)が、設計上はあまり違いが無いでしょう。

ショート・スケールの需要は今まであまりありません。 

 

Q6. 多くの読者がギターを色々と試奏していく内にますますどのギターが良いのか分からなくなってしまう様です。製作家の立場から、楽器店や工房でどのようにギターの音質や弾き易さをチェックしたら良いのか、アドバイスを頂けますか?

私のアドバイス:
ギター製作家の工房で十分長い間ねばる事です。 最低でも1時間以上。あなたのギターとギターの友人も連れて行く事です。ギターを交互に試奏し、お互いで聴きあってください。弦高は常に簡単に調整できるので、ギターの音色を注意深く聴いて下さい。

 

Q7. 顧客に対してアフター・サービスはありますか? 特に、高額なギターの購入について心配している人たちも多いと思われるのですが。

私のギターは材料と製作による欠陥に対しては生涯保証されています。これは、私が製作家として働いている限りどんな欠陥でも修復するか、他のギターと交換する事を意味します。

フレットの消耗、マシン・ヘッド、塗装、または温度や湿度の急激な変化によって生じたダメージは対象外です。

もし必要なら、私の顧客は、始めの2年間は工房を訪れて弦高を調節する事が出来ます。

 

Q8. ブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)などの木材がますます入手困難になってきていますが、それはあなたのギター製作や完成したギターの品質にどのような影響があると思いますか?

常に良い代替材料があります。マダガスカル、インディアン、ココボロ等等。

 

Q9. 21世紀に於いてギター製作というこの美しい伝統はどうあるとお考えですか?

今のところ工場での大量生産である程度の品質を得る方法が無いので、特に危機は感じていません。

コンサート、レコーディングなど一生の内の大部分を共に過ごす事になる楽器についてなので、各ギターリストの問題でもあると思います。あなただったら、生涯を捧げて勉強し、この楽器に愛情を注いでいるギター工房を選ぶでしょう。それとも、効率化とスピードが最優先課題の工場生産品にしますか?