クラシック・ギター製作家:エドゥアルド・ドゥラン・フェレール(スペイン)

クラシック・ギター製作家インタビュー:エドゥアルド・ドゥラン・フェレール(スペイン)

今回のギター工房インタビューはスペイン、グラナダのエドゥアルド・ドゥラン・フェレールさんです。

 

Q1. あなたの工房とその歴史についてお聞かせください。

 

1982年頃に私の父、アントニオ・ドゥランの工房で働き始めました。学校とギター製作の修行を同時にこなしていました。当時、父の工房には他に3人働いている人がいました。その内の一人は私の先生であったラファエル・モレーノです。彼からは道具の使い方やギター製作の行程を学びました。私の祖父、エドゥアルド・フェレールと私の父はギター製作の秘訣と技術を教えてくれました。私がギター製作に付いてほぼ全てを習得した頃には(木を伐採する事から始まり、それを板きれに切断し、乾燥させ、その中で最も良い木を選択し、それを使って組み立てるまで)この職業の最終過程を学んでいました。それは塗装です。私はこれをアントニオ・マリン・モンテーロの工房で学びました。そして、その頃私は私自身のブランド名でギター製作を始めました。  

私は父の工房で既にアントニオ・ドゥラン・ブランドのギターを彼の監督のもと数本製作した事がありました。それから長い間自分のブランドでギター製作をしてきましたが、現在は私の息子にそれを教えています。ギター製作家系の第五世代目です。第一世代は1875年にベニート・フェレールによって始まりました。

 

Q2. あなたにとって良い音のするギターとはどのようなものですか?またそれを獲得する為にどんな工夫をしているのですか?

私の考える良い音がするギターとは、バランスの良くとれたギターです。それは良い木を使い、各部分を適正な厚さに調整する事で得ることができます。材木の種類によっても、硬度やその他諸々の要素によって異なる適正の厚みが異なります。

 

Q3. 弾き易いギターを製作する事について考えをお聞かせください。そして、その為にどんな工夫をされていますか?

私は、弾き易さを向上させる秘密はギター製作にあると思います。それはフラメンコ、クラシックに関わらず、ギターにどれくらいの張りを与えたいのかを決断する時に決まります。誰の為に製作するかが分かっているときは、奏者のタッチと好みに合わせたテンションに調整する事が可能です。

 

Q4. 伝統的なフレンチ・ポリッシュ(セラック・ニス)や新しい方法(ラッカー、触媒)などの仕上げの方法について、あなたの考えをお聞かせください。

正直なところ、私は近代的なニスを使った経験はあまりありません。私は合成ニスより割れやすいですが、フレンチ・ポリッシュのみを使用しています。自然の材料で、音に影響を与える事無くギターを保護してくれると思います。

 

Q5. 640, 628 や 615mm などのショート・スケール・ギターに於いて、弾き易さ、設計、音質や音量の観点から、あなたの考えを聞かせて下さい。また、手の小さい人や女性ギタリストの増加によってそれらショート・スケールの需要は伸びていますか? 

私は通常日本や、ときたま手の小さい人達から特別注文を受けた時のみ(ショート・スケールを)製作します。私は音質、音量、その他諸々においてそれより長いスケールのギターと比較しても、何ら違いを見いだすことができません。 私は、私のギターを演奏するギターリスト達程良い耳を持ち合わせていませんが、その彼らが音質や反応が同様であると同意してくれたのです。

 

Q6. 多くの読者がギターを色々と試奏していく内にますますどのギターが良いのか分からなくなってしまう様です。製作家の立場から、楽器店や工房でどのようにギターの音質や弾き易さをチェックしたら良いのか、アドバイスを頂けますか?

これは返答が難しい質問です。私の経験では、私の友人であるギターリスト(そして私にとっては最高のギターリスト)が初めて楽器を試奏する時、彼は暫くの間音質、感触、演奏のし易さ、反応等を見ながら演奏を楽しみます。その後、彼は組他で具合をチェックします。前述した私の同僚も同意見です。私はあなたの読者の皆様に演奏する事が快適で、要求した事が音になって返ってくるギターを選ぶ事をお勧めします。一般的にギターの品質より製作家の名前に気を取られる人が大変多いです。最終的には、あなたは「製作家のブランド」ではなく「楽器」を演奏するのですよ。

 

Q7. 顧客に対してアフター・サービスはありますか? 特に、高額なギターの購入について心配している人たちも多いと思われるのですが。

通常私は生涯の保証をします。これは製作上の問題に対してであって、楽器の不適切な取り扱いに対してではありません。このような楽器はメンテナンスが必要です。暖房の直ぐ側で演奏したり、暑い日に車のトランクに置き去りにしたりしてはいけません。湿気に気をつけ、ぶつけたりしない等等。

 

Q8. ブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)などの木材がますます入手困難になってきていますが、それはあなたのギター製作や完成したギターの品質にどのような影響があると思いますか?

これはギターの最終価格となって跳ね返ってきます。例えば、「ハカランダ」は「インディアン・ローズウッド」よりも高価です。こちらでは「パロサント・デ・リオ」と呼んでいます。これは商業的な呼称で大変類似した異なる種類の木をまとめてこう呼びます。

 

Q9. 21世紀に於いてギター製作というこの美しい伝統はどうあるとお考えですか?

見当もつきません。高品質のギターを必要とする演奏家がいる間はそれを製作する製作家がいなくてはいけないはすです。我々がそれぞれのギターに施す水準のカスタマイズを工場レベルで実行するのはとても難しいです。