クラシック・ギター製作家インタビュー:ベルンド・マルティン(スペイン)

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今回のギター工房インタビューはスペイン、グラナダのベルンド・マルティンさんです。​

 

Q1. あなたの工房とその歴史についてお聞かせください。

私はかねてからグラナダの魔法の様な魅力に惹かれていて、1976年に磁石に引き寄せられる様にこの街に来ました。幼少の時にピアノを習い始めましたが、その後スペインとその文化への情熱が私をギターへと導き、そちらへ進んで運を試す決意をしました。私はエドゥアルド・フェレール家長の義理の息子であるホセ・ロペス・ベジードの工房で初のギターを製作しました。修行を終了した後独立し、息子ルーカス・マルティンに教え始めた2002年まで単身で製作してきました。

 

Q2. あなたにとって良い音のするギターとはどのようなものですか?またそれを獲得する為にどんな工夫をしているのですか?

スペインのギターの音の特徴はアントニオ・デ・トレス、マヌエル・ラミレス、そしてサントス・エルナンデスという偉大なるマエストロ達によって形成されました。その音は時代に左右されず、どんな種類や時代の音楽にも相応しく、ギターを世界的な楽器にします。

それらの名器を演奏し、分析し、そして理解した後、我々はその音を求めて同じ伝統的な製作法を継承するのです。

 

Q3. 弾き易いギターを製作する事について考えをお聞かせください。そして、その為にどんな工夫をされていますか?

ギターを弾きやすくする為には製作そのものが重要です。例えば、ボディとネックの角度やテンション、ネックの形状やフレット等です。我々のギターはとても演奏しやすいと評判です。歴代の名工の技術の研究とプロのギターリスト達との共同作業による賜物です。

 

Q4. 伝統的なフレンチ・ポリッシュ(セラック・ニス)や新しい方法(ラッカー、触媒)などの仕上げの方法について、あなたの考えをお聞かせください。

私にとってフレンチ・ポリッシュはその音、美観、修復のし易さの点で理想的なものです。合成ニスは素晴らしい手触りを与えるためにネックのフレンチ・ポリッシュの土台に使用するのを除いて使いません。 

 

Q5. 640, 628 や 615mm などのショート・スケール・ギターに於いて、弾き易さ、設計、音質や音量の観点から、あなたの考えを聞かせて下さい。また、手の小さい人や女性ギタリストの増加によってそれらショート・スケールの需要は伸びていますか? 

私達は弦長・弦同士の間隔・ネックの形状など様々なカスタマイズが可能な特別注文でギターを製作することを専門としています。 加えてパロ・デ・セルピエンテの指板にイトスギのボディを組み合わせたもの等新しい種類の 木材を加えました。これらは全てコンサート・モデル用です。

ショート・スケールについては640や630を何本も製作しましたが良好な結果が得られます。しかし、最高の音質と遠達性の為にプロの演奏家にはそれぞれ、クラシックの場合650、フラメンコの場合は660を推奨します。

 

Q6. 多くの読者がギターを色々と試奏していく内にますますどのギターが良いのか分からなくなってしまう様です。製作家の立場から、楽器店や工房でどのようにギターの音質や弾き易さをチェックしたら良いのか、アドバイスを頂けますか?

ギターの選択はとても個人的なものです。ある程度のレベルの演奏家には、「手に馴染む」ギターが理想的です。自分のギターでは演奏が難しかったパッセージが我々のギターで試したら楽々と弾きこなす事が出来た、という例を沢山目の当たりにしてきました。それはそのギターが良いギターである事を証明しているのです。

もちろん、もっと客観的な観点もあります。旋律と和音・低音と高音間のバランス、音色の統一性、サステイン、演奏しやすさ等を組み合わせた総合的な特徴です。

 

Q7. 顧客に対してアフター・サービスはありますか? 特に、高額なギターの購入について心配している人たちも多いと思われるのですが。

私達は唯一のパーツを使った限定生産をしています。これが販売後の各々のギターの記録とその追跡を可能にし、塗装を含め完璧なメンテナンスを可能にしています。

 

Q8. ブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)などの木材がますます入手困難になってきていますが、それはあなたのギター製作や完成したギターの品質にどのような影響があると思いますか?

私達にはどの木材も不足していません。最長25年物の全てのクラスの木材のストックがあります。加えて、マダガスカル・ローズウッドはブラジル産の完璧な代替木材です。インディアン・ローズウッドやカーリー・メイプル、イトスギ等も素晴らしい結果を出しています。

 

Q9. 21世紀に於いてギター製作というこの美しい伝統はどうあるとお考えですか?

技術的に見てギターについての研究と製作は今程盛んな時代はありません。加えて、極めて幅広い供給があります。私は音に関する「ギターの歴史的理解」の高まりを肯定的に見ています。現在、歴史的楽器や歴史的観点を伴った録音や、古典的楽器についての著作が真っ盛りです。結論として、ギター製作という職業は大変健全な状態で良い方向へ向かっていると思います。

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